若い頃からよく「デザインの引き出しをいかに多く持つか」などという、先輩デザイナーの言葉を耳にしたものだ。「引き出し」とは、アイデアに近い感覚だろう。
例えば文字を目立たせて欲しいという要望はよくあるが、文字を大きくする/太くする/色ベタで抜くなど、いろいろな方法を考えつく。これらは単純に「デザインの引き出し」と呼でべるのだろうか。僕が思うに、これらは誰でもすぐに思いつく手法であって、特別に引き出しとは呼び難い。
僕はつい最近まで、長年の経験で得た「デザインの引き出し」を多く持っていると、勘違いしていた。現に、少しの間グラフィックデザインから離れていて、久々にイラストレータで広告のデザインを始めたとき、次々とデザインの引き出しが開き、デザイン作業が進行することはなかった。
逆に気がついたことがある。かつて自分が身につけたレイアウトの法則は覚えていて、レイアウトを進めて行く中で、その重力のようなものに引き寄せられて行くということ。上手く説明できないが、レイアウトは自分の好きな方向に向かって動いていて、それは止めることが困難なのかも知れないのだ。
ということは、ケースバイケースで、その時に相応しいレイアウトを経験することにより、毎回納まりの良い、美しいレイアウトが出来るようになるのか。そう言えば、レイアウトの上手な先輩デザイナーは、どのような仕事でもある程度美しいレイアウトができたような気がするし、当時の僕は、その反対だったと思う。
結論として「デザインの引き出し」とは何か?
実際に引き出しを一つあけたら、一つのアイデアが入っているというわけでなく、自分らしいデザインができる過程で、次々にアイデアを思いつき、自分の好きなデザインの方向に進んで行くという意味なのかも知れない。
2008年02月29日
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